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Diesel Engine
JASOのディーゼルエンジン用オイル規格は、ディーゼルエンジンへの排ガス規制や軽油の低硫黄化が強化される傾向が強まった2001年に初めて制定された。それまで国内ではディーゼルエンジンにはAPI規格で対応していたが国内と海外での排ガス規制の違いが大きくなり、またエンジン設計の違いなどもありAPI規格では国内のディーゼルエンジンに対応するのが難しくなっていた。この為、国内ではCG-4以降のAPI規格は国内では使用されず、JASO規格が用いられる。 最初に旧来の排ガス規制前の車種にも対応可能なDH-1規格が制定され、2005年に高度な排ガス対策を行ったディーゼルエンジン向けのDH-2とDL-1が追加制定された。更に最新式のクリーンディーゼルエンジン対応の新規格も登場してきます。 |
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ACEA 2004よりAカテゴリとBカテゴリは統一され、Ax/Bx規格となりガソリン・ディーゼル兼用規格となった。このため現行のACEAではAとBは個別に規定されていない。このAとBの統合と共にガソリン・DPF付きディーゼル向けのCカテゴリーが導入された。API規格では新しいエンジンに適合しなくなった古いグレードは順次廃止されてゆくが、ACEA規格では各グレードごとに目的や対象となるエンジンが明確に分けられており、エンジン・環境対策の要求に合わせて数年おきに更新されていく形になっている。A1-02、A2-96、B1-02、B3-98 というようにグレード表示のあとにハイフンをはさみ、二桁の数字の記載がある場合、その数字が基準が制定・更新されたACEA規格の年度をしめしている。しかし年度の表記を行っているメーカーは多くはなく、いつのACEA規格なのか判別できない製品も多い。ただし規定では一定期間で新しい仕様に移行するように要求されているため極端に古いACEA規格のオイルが流通していることは少ない。 このACEA規格の仕様更新により従来表記していた規格を維持できなくなる場合もある。なお最新のACEA規格は ACEA 2012 である。 総じてAPI規格よりテスト項目が厳しく、HTHS粘度の規定値も高いグレードが多い。オイルシールへの適合性も試験項目にあるのが特徴である。 ただしAPI規格であってもディーゼル用ではCI-4以降の規格はオイルシール適合性が求められており、ガソリン用ではSN規格から求められるようになった。 |
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Kappa HiTech DH-2 |
DH-1 : 高速4サイクルデイーゼルエンジンで、摩擦摩耗および腐食摩耗防止、高温酸化安定性、すす対策、などの性能向上を必要とする厳しい排ガス規制対応エンジンに用いる。さらに、ピストンデポジット、高温金属表面デポジット、泡の発生、蒸発オイル損失によるオイル消費、せん断粘度低下、オイルシール劣化、等を防止する性能が含まれている。DH1は、以前の排ガス規制対応のエンジンに使用することも可能であり、またエンジンメーカーのオイル交換距離推奨に従うことを前提に、硫黄分が0.05%を越える軽油を使用する場合にも適用できる。 DH-2 : ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を装着し、新短期以降の規制に適合した新型ヘビーデューティー用ディーゼル車に用いるエンジン油のガイドライン。DH1の要求性能に加え、エンジン油中の灰分の規定により、DPFの詰まり寿命を大幅に向上。また、低灰分でありながら酸中和に必要な全塩基価を確保した。さらに、油中のリン、硫黄含有量の目標値を設定し、環境負荷を低減。(備考:大型トラック向け) |
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認知度が高い現状のヨーロッパと異なり、日本ではディーゼル乗用車の比率が絶対的に低いためJASO M355の規格に適応したオイルの生産販売量も少なく、認知度も高いとはいえない。カーディーラーではJASO適合オイルの使用が使い分けられ、カー用品量販店でもJASO指定のディーゼル車にはJASO規格のオイルの使用を推奨しているが、しかし、小規模な整備工場ではJASO仕様のオイルを使い分けていない工場も少なくない。カー用品店ではディーゼル専用オイルではDL-1などのJASO規格オイルが純正油を中心に置かれているが、汎用ブランドのオイルやガソリンエンジン共用のユニバーサルオイルでは未だAPIのCF相当やCF-4に準じたオイルが多く、JASO規格のオイルは少ない。アメリカからの輸入オイルでは CI-4 などの規格オイルも販売されているが、これはアメリカでのEGR付のディーゼルエンジン向けの規格である。いずれにせよJASO規格に合わせたオイルを使用しないとDPFの機能を損ねてしまう。なお欧州のACEA規格ではCカテゴリーがDPF付車両用のエンジンオイルとなっている。 |